相続税の申告漏れと税務調査
申告漏れの危険性
相続税の申告漏れが生じるおそれが大きいのは、相続税の基礎控除額の範囲を超えるかもしれない微妙なラインの財産を相続する場合や、相続人が相続財産の全てを把握しきれていないことにより相続財産の額を間違えて計算している場合です。
今回は上記のような理由により相続税の申告を怠ってしまった場合にどのような事態になり、どのような結果になってしまうのかを解説していきます。相続税の申告漏れにより生じる問題を一緒に理解していきましょう。
そもそも相続税の申告期限はいつまでなのか
相続税の申告は、相続人が被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内にする必要があります。
例えば、1月1日に被相続人が死亡した場合は、11月1日が申告期限になります。この申告期限日が土曜、日曜、祝日の場合はその翌日が申告期限になります。
申告期限までに申告しなかった場合や、実際に相続(遺贈)によって取得した財産の額より少なく申告した場合は、通常の相続税に加えて加算税や延滞税が課される場合があります。
なお、相続税の申告先は被相続人の住所地を管轄する税務署となります。
相続税の実際の納税も上記の申告期限までに行う必要があります。
申告期限までに申告したとしても実際に相続税を申告期限までに納税しなければ延滞税が課される場合があります。納税は税務署、金融機関、郵便局で行う事ができます。
相続税の納税方法は物納、延納(分割)で行う事も可能で、その場合は申告書の提出期限までに別途申請書の提出が必要です。
申告漏れがあった場合
申告書を提出した後で、申告漏れが判明した場合には、「修正申告書」を提出し、同時に納税もすることになります。この修正申告書は税務署長から更正を受けるまでは、いつでも提出することができます。
●修正申告書とは
修正申告書とは、法定申告期限後に、すでに提出した申告書の内容に誤りがあった場合で、申告をした税額等が実際より少なすぎた場合や還付される税金が多すぎた場合に、正しい金額に訂正するために提出する申告書です。
※法定申告期限の日が土曜日、日曜日又は祝日に当たるときは、その翌日が申告期限となります。
意図せずに申告漏れになった場合
期限後申告書の提出をお勧めします。
申告書の提出義務がある者は、提出期限が経過した後であっても、税務署長の決定があるまではいつでも納税申告書を提出することができ、これを期限後申告書といいます。
期限後申告となったことに正当な理由があると認められる場合には、無申告加算税は課されません。
なお、相続税法では一般の期限後申告以外に特則が設けられており、所定の事由によって期限後申告書を提出することになった場合には、正規の納期限の翌日から期限後申告書提出日までの期間は延滞税の計算期間から除かれることになっています。
相続税法に期限後申告の特例が設けられたのは、申告期限までに相続人や相続財産額が確定しなかったり、遺産分割が完了しないことが多いという、相続税に特有の事情に配慮したものです。
まとめ
相続税の申告・納税期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」であることから期限内に遺産分割の話合いを終え、正しく申告書を作成して納税しようとすると、とても大変です。
相続税の申告にはいろいろな特例もありますし、ご自身で申告をされるにはかなりの労力が必要かと思います。
また、間違っていたり、相続税の対象となると思わなかった財産があったりと、問題点を指摘される内容があると、税務調査の対象となる可能性が増え、延滞税をはじめとしたペナルティが課せられます。あわせて、修正申告が必要となり、通常の申告同様に多くの書類を作成する必要があります。
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