税制改正大綱

平成28年度 税制改正大綱

「平成28年度 税制改正大綱(与党案)」について、その主要な部分について解説します。

 

法人税の改正

【1】法人税率の引き下げ

  改正前 改正案
平成28
年度
平成29年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度
中小法人、一般社団法人等
及び人格のない社団等
年800万円以下の金額 15% 19% 15% 19% 19%
年800万円超の金額 23.9% 23.9% 23.4% 23.4% 23.2%
中小法人以外の普通法人 23.9% 23.9% 23.4% 23.4% 23.2%
一般社団法人等以外の公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人(一定の法人を除く) 年800万円以下の金額 15% 19% 15% 19% 19%
年800万円超の金額 19% 19% 19%

【2】中小法人関連

  • 中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる法人から常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人を除外した上、その適用期限が2年延長されます。
  • 交際費等の接待飲食費に係る損金算入の特例(飲食のために支出する費用(社内接待費を除く)の額の50%の損金算入)及び中小法人に係る損金算入の特例(800万円の定額控除額の損金算入)の適用期限が2年延長されます。

 

消費税の改正

【1】消費税の軽減税率制度の導入

税制抜本改革法第7条に基づく消費税率引上げに伴う低所得者対策として、平成29年4月に、軽減税率制度が導入されます。平成29年4月1日以後から行う課税資産の譲渡等について適用されます。

軽減税率(※)の対象品目 ① 酒類及び外食を除く飲食料品 
② 新聞の定期購読料

※軽減税率:8%(国分:6.24%、地方分:1.76%)

 

【2】適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入

平成33年4月から、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。

 

【3】高額資産を取得した場合における消費税の中小事業者に対する特例措置の適用の見直し

簡易課税制度の適用を受けていない課税事業者が、以下のいずれかに該当する場合は、高額資産の仕入れ等から3年間、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用は認められないこととされます。

取引等 免税点等不適用期間
一取引単位の支払対価が税抜1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産の課税仕入れ、または輸入を行った場合 仕入れ等の日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年経過日の属する課税期間までの各課税期間
自家建設資産の費用の額が税抜 1,000万円以上である場合 費用の額が税抜 1,000万円以上となった日の属する課税期間から当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間

上記の改正は、平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合について適用されます。ただし、平成27年12月31日までに締結した契約に基づき、平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合には、適用されません。

 

所得税の改正

【1】三世代同居に対応した住宅リフォームに係る税額控除制度の導入

世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、三世代同居に対応した住宅リフォームに関し、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に借入金を利用してリフォームを行った場合や自己資金でリフォームをして、居住の用に供した場合の税額控除制度が導入されます。この特例は、住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とし、控除期間は5年です。

 

【2】空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除の導入

空き家の発生を抑制し、地域住民の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修又は除却を行った上で家屋又は土地を売却した場合の譲渡所得について特別控除が導入されます。平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡について適用されます。

(注)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例との選択適用とするほか、居住用財産の買換え等の特例との重複適用その他所要の措置が講じられます。

 

その他の改正

【1】車体課税の見直し

消費税率10%段階の車体課税の見直しについて、①自動車取得税(地方税)が廃止され、②自動車税等(地方税)の環境性能割が導入されます。平成29年4月1日以後適用されます。

【2】納税環境整備

  • 国税の納付手段の多様化を図る観点から、インターネット上でのクレジットカードによる国税の納付を可能とする制度が創設されます。平成29年1月4日以後に国税の納付を委託する場合に適用されます。
  • 当初申告のコンプライアンスを高める観点から、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の加重措置等が導入されます。平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
  改正前 改正案
過少申告加算税 不適用 5%
(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分)
10%
無申告加算税 5% 10%
(50万円超の部分)
15%

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