小規模宅地の特例と建物
小規模宅地の特例は対象となる土地や借地権を被相続人が持っている必要があります。それでは、その上に建てられている建物も被相続人のものでないと適用ができないのでしょうか?実はそんなことはないのです。ただし、どのような人がその建物を所有しているか、どのような用途で使用されているか、適用できるかで評価の割合が変わってきます。
この記事ページでは以下のことを中心に考えていきます。
どのような所有者かを考える際に生計一親族か生計別親族のどちらであるか。
まず、生計一親族とはどのような人のことを言うのでしょうか。
生計一親族は言葉通り「被相続人と生計を一にしている」ということである。イメージとしては、被相続人と同じ財布で生活しているかどうかです。同居の場合はもちろん、遠くに別居をしていたとしても、その相続人のお金で学費や生活費などを送金していれば相続人のお金で生計を立てているため生計一親族となります。めったにないことではあるが、同居をしていても光熱費や家賃などをそれぞれで働いてそれぞれが払う割合などを決めて生活をしていれば生計別親族となります。
使用区分によって限度面積、減額割合の変動
主に考えられるのはその建物が居住用として使われていたか、事業用として使われていたかです。
土地の所有者と建物の所有者の契約が「使用貸借」か「賃貸借」のどちらであるか。
使用貸借とは、土地を建物所有者に無償で貸していることです。逆に、賃貸借とは有償で貸すことを意味しています。
それでは、以上のことを踏まえいくつかにパターン化して考えてみます。なお今回は分かりやすくするためを建物の所有者と使用者を同じとします。
(1)生計一親族が建物の所有者の場合
小規模宅地の特例は使用可能です。ただし、土地の所有者と建物の所有者の契約によって適用するものが変わります。
使用貸借 |
居住用:限度面積330㎡、減額割合80% |
---|---|
賃貸借 |
貸付事業用で減額割合50% |
(2)生計別親族が建物の所有者の場合
使用貸借 | 小規模宅地の特例が使えない |
---|---|
賃貸借 |
貸付事業用で減額割合50% |
(1)(2)を比較すると分かるように同じ親族でも生計の違いによって評価額が大きく違ってきます。
(3)親族でない第三者が所有している場合
使用貸借 | 小規模宅地の特例が使えない |
---|---|
賃貸借 |
貸付事業用で減額割合50% |
第三者が建物の所有権を持っている場合については、小規模宅地の特例を適用することができません。
所有者や用途など、様々な要素で評価が変わってきます。今一度状況を再確認してみるとよいでしょう。
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