相続税の控除の対象となる入院費
入院費の控除は相続開始前と相続開始後では違いがあります。
入院費の控除を受けるには、いつ誰が支払ったのかを明確にしておく必要があります。
相続開始前
相続開始前に支払った被相続人の入院費は準確定申告をする際の医療費控除の対象となります。死亡後に相続人が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません。
準確定申告は被相続人の相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
準確定申告をする場合には、次の点に注意してください。
確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合
この場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
相続人が2人以上いる場合
各相続人が連署により準確定申告書を提出することになります。
ただし、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。この場合、当該申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。
相続開始後
死亡後に支払った入院費については、相続税の計算上、債務控除の対象となります。領収書や明細書は必ず保管しておいてください。
相続開始後に支払った被相続人の入院費はその金額を負担した(その債務を相続した)相続人の確定申告での医療費控除の対象になります。しかし、医療費控除の対象にする為には、被相続人と相続人が生計を一にしていることが重要になります。これは同居していてもしていなくても、仕送りなどがあれば生計を一にしていることになります。また、医療費控除は上限があり200万円まで控除することができます。
その年の医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払われた金額に限られ、未払の医療費は現実に支払われるまで医療費控除の対象とはなりません。このため、被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ相続財産で支払われた場合であっても、被相続人が支払ったことにはならないので、被相続人の準確定申告上、医療費控除の対象にすることはできません。
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