相続税の時効と無申告の場合のペナルティ
相続税を申告・納税をしなかった場合のペナルティ
相続税の申告が必要であるにもかかわらず、申告を怠って無申告の状態であったり、申告自体はしたけれども、その後納税をしなかった場合には、ペナルティを課される場合があります。
相続税は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に納税しなければなりませんが、被相続人が亡くなってから5年間または7年間が経過すると時効となり、納税義務がなくなります。
被相続人が亡くなったという事実を知らなかった場合(法律用語では知らないことを善意と言います)は5年間、亡くなったという事実を知っていた場合(法律用語では知っていることを悪意と言います)は7年間が、時効までの期間となります。
時効になるまでの間、無申告の状態であったり、納税をしなかった場合にどのようなペナルティが課されるのか、確認をしましょう。
- 期限後申告書
相続税申告の期限内に申告をしなかった場合でも、税務署長による決定がなされる前であれば、いつでも納税申告書を提出することができます。これを期限後申告書といいます。
- 修正申告書
税務署長による決定を受けた場合や期限内申告書を提出した場合に、納付すべき税額に不足があった場合には、その税額等を修正する申告書を提出することができます。これを修正申告書といいます。
この期限後申告書・修正申告書の提出により、①無申告加算税、②過少申告加算税、③重加算税がペナルティとして課されます。どのような課税なのか確認していきましょう。
①無申告加算税とは
期限後申告又は修正申告書を提出すると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。
原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。また、期限後申告であっても、次の要件を全て満たす場合には課されません。
- 1.その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
- 2.期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1)その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
②過少申告加算税
修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかります。
この過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額です。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
- 1.税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。(ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期が到来するもの(平成28年分以後)については、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税がかかります。)
- 2.確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合があります。
③重加算税
無申告加算税又は過少申告加算税を課される事由がある場合であって、その期限内申告書が提出されず、又は期限内申告書等により納付すべき税額が過少となったことが、課税の基礎となる事実を偽ったり隠蔽したりしたことによるものであるときは、無申告加算税又は過少申告加算税に代えて重加算税が課されます。その額は、無申告加算税に代えて課される場合には40%、過少申告加算税に代えて課される場合には35%をそれぞれの基礎となるべき税額に乗じて計算した金額になります。また調査による期限後申告等があった日の前5年内に無申告加算税等を課されていた場合には、重加算税はさらに10%を上乗せした額を課されることになっています。
無申告・納税を怠った場合
税務署は、誰がどのような財産を所有しているかを十分に把握しており、その人が死亡したという情報は、他の税金の申告・納付状況からすぐにつかむことができます。
5年間または7年間が経過すると時効になりますが、相続税の納付義務があるにもかかわらず無申告のままでいると、多額のペナルティを課される場合があります。
相続税は期限内に納めるよう努めましょう。
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