相続税の延納
相続した財産が大きいと、それに応じて納めるべき相続税の額も大きくなります。その際に、多くの方から聞かれるご心配の声は、「払いきれる金額なのでしょうか?」というものです。
国税は金銭での一括納付が原則となっており、相続税もその例外ではありません。ですが、金銭で一括して納付することが困難となる一定の条件が整っている場合には、相続税を年賦による分割で納める(=延納)という方法をとることができます。
延納するためには税務署への申請や必要書類の提出をするなど、いくつかの手続きが必要です。ここでは、相続税の延納の仕組みについて述べさせていただきます。
相続税の延納制度とは
相続が開始すると、それを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告と納付をしなければなりません。相続税の納期限は税金を納める期限だけでなく、延納や物納といった納付方法の特例を受けるための申請書の提出期限にもなっています。
相続が発生したらできるだけ早く相続する財産の全体像を把握し、どのくらいの相続税を納付する必要があるのか、また、税金を金銭で一括納付するのに可能な資力があるのか、などをしっかり勘案し、納期限に遅れることのないようにしたいものです。
相続財産は生前から大まかな全体像を把握することが可能です。ご遺族の方が、円滑に相続手続きを済ますことができるようにするためにも、早い段階から税理士などの専門家に相談しておくことをお勧めします。
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延納の要件
先にも述べましたが、金銭による相続税の全額納付が困難となる場合は、一定の条件の下において年賦による分割納付(=延納)という方法をとることが可能です。ただし、以下の要件を満たす場合に限られます。
- 「延納申請書」と「担保提供関係書類」を期限までに提出すること
- 金銭納付を困難とする金額の範囲内であること
- 相続税額が10万円を超えていること
- 延納税額に相当する担保を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要)
ここで注意したいのは、相続税の納期限までに「延納申請書」等の必要書類を提出しなければならないことです。期限を過ぎてからの提出は無効となり、延納を受けることができません。
また、上記に要件として挙がっている「金銭納付を困難とする」か否かは、相続人が所得した財産だけではなく、被相続人がもともと所有する資産の状況も合わせて考慮し、審査されます。
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延納できる期間
課税される相続財産に占める不動産等の割合に応じて、延納可能な期間は5~20年間となっています。なお、この期間中は相続する不動産の財産に応じて利子税がかかります。
延納申請の審査
延納申請書が提出されると、申請書の提出期限の翌日から3か月以内に、税務署長から許可または却下がなされます。ただし、延納のための担保が多い場合や、気象条件等により担保財産の審査ができない場合には最長6か月まで審査期間を延長することがあります。
必要に応じて提出した書類の訂正や補正などを求められることもありますので、その場合は定められた期限までに行わなければなりません。
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延納許可の取り消し
無事に審査が通り延納が許可された場合でも、分納税の滞納(利子税、延滞税のみの滞納も含む)や、延納条件に違反したなどの諸事情が生じた場合は、弁明聴取が行われた上で、延納許可が取り消され、残りの税額をすぐに納付することになります。
また、許可取り消しの日までの利子税と本税を完納するまでの延滞税も発生します。延納許可を受けた後に、定められた期間内に税金の納付ができないときなどは、原則として分納期限が到来していない税額について延納条件の変更の申請をすることができます。
さらに、延納条件の変更を行っても延納を継続することが難しい場合は、申告期限から10年以内に限り、まだ分納期限が到来していない税額部分について、納付を困難とする金額を限度額として物納に変更することができます。これを特定物納と呼びます。
ただし、分納期限が既に過ぎている税額や、利子税、延滞税、加算税などは特定物納の対象とはなりませんので、注意が必要です。
※特定物納制度への適用については、平成18年4月1日以降の相続開始により財産を取得した場合のみ該当します
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相続税の申告手続きのみならず、相続税の納付の際に発生するかもしれない「延納」の手続きにも、作成すべき申請書類があり、さらに提出する期限があります。
ほとんどの方が初めての経験となる相続手続きをできるだけ円滑に進めていくためにも、ご不安やご心配なことが少しでもございましたら、ぜひ税務の専門家にお尋ねください。
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