田畑の土地評価と相続税
ここでは、田畑の土地評価についてご案内させていただきます。
田畑、いわゆる農地の評価については、日本の農業政策の関係上、通常の宅地の評価と比べて一段と複雑な体系となっております。
これは、農地は宅地へ自由に転用できる土地から極めて転用の要件が厳しいものまで様々であることが原因となっており、これらを①市街地農地②市街地周辺農地③中間農地④純農地に分類して評価を行うこととなります。
市街地農地
（1）路線価地域
市街地農地の場合、宅地への転用が可能であるため、農地といえども宅地に準じて評価を行わなければなりません。これを「宅地比準方式」と呼びます。ですので、市街化区域のうち、路線価が付されている地域の場合、路線価を使用して評価を行うこととなります。
ただし、路線価は「路線（道路）に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額」を基に設定されていますが、田畑の場合は宅地造成を行わなければ建物を建築することはできません。このため、国税庁により公開されている宅地造成費を控除して評価を行います。
参考 平成29年東京都［国税庁ホームページより引用］
表１ 平坦地の宅地造成費
工事費目 造成区分 金額 整地費 整地費 整地を必要とする面積
１平方メートル当たり700 円 伐採・抜根費 伐採・抜根を必要とする面積
１平方メートル当たり600 円 地盤改良費 地盤改良を必要とする面積
１平方メートル当たり1,500 円 土盛費 他から土砂を搬入して土盛りを
必要とする場合の土盛り体積
１立方メートル当たり4,800 円 土止費 土止めを必要とする場合の
擁壁の面積１平方メートル当たり56,700 円 表２ 傾斜地の宅地造成費
傾斜度 金額 ３度超 ５度以下 11,400 円/㎡ ５度超 １０度以下 19,600 円/㎡ １０度超 １５度以下 27,000 円/㎡ １５度超 ２０度以下 41,800 円/㎡
なお、宅地造成費を控除して評価した価額が近隣の純山林に比準して評価した価額を下回る場合には、経済的合理性の観点から宅地への転用が見込めませんので、市街地農地であっても近隣の純山林に比準して評価することになります。
（２）倍率地域
路線価が付されていない地域のうち国税庁により公開されている倍率表に「比準」あるいは「市比準」と記載されている場合、市街化農地に該当します。この場合はその農地の近傍の宅地の固定資産税評価額を基として上記と同様の評価を行います。
なお、生産緑地に指定されている場合、生産緑地法の規定による買取の申出の可否により所定の割合を控除することとされています。
市街地周辺農地
上記評価倍率表において「周比準」と記載されている地域に所在する農地は市街地周辺農地として評価を行います。この地域にある農地は、その農地が市街地農地であるとして宅地比準方式で評価した価額に80％を乗じて評価します。
中間農地及び純農地
これらの地域については、宅地への転用の可能性が低いため、宅地比準方式による評価は行いません。このため、田または畑としての固定資産税評価額にそれぞれ倍率表に記載された倍率を乗じて評価します。
農地の評価は現地調査、役所調査を欠かすことはできず、慎重な判断が求められます。田畑をお持ちの方は、このような農地の評価に精通した相続税専門の事務所に相談されることをお勧め致します。
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