相続税における非課税
ここでは、相続税においての非課税についてご案内させていただきます。
そもそも「非課税」とは、税金がかからない状態のことを言います。これに対し、税金がかかること又は納税義務が発生することを「課税」と言います。
「非課税」と一口に言いますが、大きく下記の2点に分類できます。
(1)財産が非課税となるもの(以下、「非課税財産」)
(2)相続税の計算上で非課税となるもの(特例や非課税枠)
非課税財産
「非課税財産」とは、そもそも相続税の計算に含めないものですが、相続税法第12条では実際には下記のように記載されております。
- (1)皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
- (2)墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
- (3)宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
- (4)条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利
- (5)相続人の取得した生命保険や退職手当金等の一部、一定額までの弔慰金
そのほか、幼稚園の事業に使われていた財産の一部や公共団体等への寄付したものなども相続税がかからない財産となります。
また、一般的に(1)に該当する財産を持つ方はなかなかいらっしゃらないため、説明は省略いたします。
墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
こちらは、墓地・墓石、仏具、礼拝道具が当てはまります。
ただし、国税庁は「ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。」という文言を追記しております。つまり、趣味で集めた仏具等や古美術などの取引などで売買を行っている場合は、当てはまらないということです。
宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
例としては、学校経営や寺社経営等を行っている個人の方が相続等した、校舎や校舎が建っているあるいは今後利用する事が確実である土地、寺社仏閣などの事です。こちらは、あくまで公益を目的とする事業に使われることが確実とあるように、収益の発生する部分については当てはまらない可能性が高いという事にご注意ください。(月極めの料金を取っている駐車場など)
条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利
「心身障害者扶養共済制度」という被相続人(心身障害者の保護者)が生前中に共済に加入し、掛金を負担し、その保護者が死亡した際に、残された心身障害者に対して年金を支払うというものです。
一般的な年金の受給権は、相続税や所得税の課税対象になりますが、この制度の受給権についてはその性質上、非課税財産とされています。
相続人の取得した生命保険や退職手当金等の一部、一定額までの弔慰金
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その他
注意して頂きたいものは、被相続人と相続人の財産と明確に区分しづらい財産や相続税法以外に法律等で非課税と規定されている財産です。
被相続人が死亡した後に入金されたものは、未収金扱いとなりますが、一部被相続人の相続財産ではなく、相続人の財産とみなされるものがあります。
例えば、未支給年金など死亡後に入金された年金は相続人の財産扱いとなり、相続人の所得税の課税対象となります。
また、「葬祭費」「埋葬費」という名目で死亡後に5万円が支給されますが、こちらは相続税法ではなく国民健康保険法第68条及び健康保険法第62条で、「租税その他の公課は~課することができない」とされているため、相続税も課税されないこととなります。
非課税枠
税金のほとんどは、ある一定額を超えた部分に課税されますが、相続税においては現状下記の計算式で出てきた金額を超えた部分に対して相続税が課税されます。
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配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者が相続財産を取得した場合に1億6千万円又は法定相続分までであれば、税金がかからないという制度です。
ただし、配偶者も死亡してしまった際には、配偶者の税額軽減もなく、法定相続人も1名減った状態かつ配偶者の固有財産も計算に加味されるため、税負担が次の世代にのしかかってくる恐れがあります。分割の際には、次の相続も視野に入れて財産を相続することをお勧めいたします。
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