相続放棄を検討していて、相続放棄に必要な書類を調べているなかで「本当にこれらの書類だけで良いのだろうか」と不安に思われている方は意外と多いのではないでしょうか。
でも、ご安心ください。相続放棄に必要な書類は意外と少ないのです。
ここでは、相続放棄に必要な書類とそれらの取得方法まで解説していきますから、一緒に確認していきましょう。
1.相続放棄に必要となる書類は大きく分けて2つ
相続放棄で必要となる書類は以下の通りです。
【相続放棄に必要となる書類】
- 相続放棄申述書
- 戸籍等の書類
【上記のほか用意するもの】
- 収入印紙 800円分 (申述人1人につき)
- 郵便切手 *各裁判所によって異なるため要確認
2.各書類の取り方
ここでは、各書類の取得方法についてご説明します。
分かりやすく説明していきますから、一緒に見ていきましょう。
2-1.相続放棄申述書は家庭裁判所のサイトからダウンロードできる
相続放棄申述書の用紙は、裁判所のサイトでダウンロードすることができます。
※直接家庭裁判所へ出向いて用紙をもらうこともできます。
裁判所サイトでダウンロードできる相続放棄申述書は以下のものです。
相続放棄申述書の書き方(記載例)についても裁判所のサイトに掲載されていますから、参考にしながら記入していきましょう。
※成人用・未成年者用で分かれていますから、それぞれに応じて参照してください。
ここでも、成人用と未成年用の記載方法について紹介していきます。
≪成人用≫
≪未成年者用≫
・相続放棄申述書に押印する印鑑は実印ではなくても大丈夫です。
☆ 相続放棄申述書は、雑字だと読めなくて却下されてしまう可能性があるため、正確に丁寧な字で記入するようにしましょう。
2-2.戸籍等の書類
必要となる戸籍等の書類は、相続放棄をする人が被相続人とどのような関係であるかによって変わってきます。
市区町村役場へ出向く前にご自身がどの書類を取り寄せる必要があるのかをしっかり確認しておきましょう。
2-2-1.住民票の除票の取り方
住民票の除票(除住民票)とは、転出や死亡届出をしたなどで、住民登録が除かれたあとの住民票をいいます。
必要なもの
<窓口で請求する場合>
- 本人確認書類
- 印鑑
- 第三者請求の場合、申請理由を証明する資料(契約書の写しなど)
- 委任状(代理人が請求する場合)
- 切手を貼った封筒(マイナンバー入りの住民票の写しを代理人が請求する場合)
<郵送の場合>
- 住民票請求書(郵送用)
- 切手を貼った返信用封筒(請求者の住所及び氏名を記載)※住民登録地にしか送れません。
- 手数料分の郵便定額小為替(複数請求の場合は合計額可)
(注釈1)郵便定額小為替は郵便局でご購入ください。その際,別途手数料が必要です。
(注釈2)郵便定額小為替には何も記入しないでください。
- 本人確認書類の写し(有効期限内のもの)
- 委任状(代理人が請求する場合)
手数料
1通(原則。自治体によって異なります。)
2-2-2.戸籍の附票の取り方
戸籍の附票とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類のことをいいます。
戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。
必要なもの
<窓口で請求する場合>
- 戸籍の附票の写しの請求書
- 本人確認書類(代理人が請求する場合は代理人のもの)
- 代理権限を確認できる書類(代理人のみ)
*法定代理人:戸籍証明等、成年後見登記事項証明書
*任意代理人:委任状
※本人(請求対象者)の配偶者、直系尊属(父母等)、直系卑属(子等)、同じ戸籍の名欄に記載のある方の場合は、委任状の提出は不要です。
<郵送の場合>
- 請求書
- 住所が記載された本人確認書類の写し(代理人が請求する場合は代理人のもの)
(運転免許証、マイナンバーカード(個人番号カード)又は写真付きの住民基本台帳カードなど) - 代理権限が確認できる書類(代理人のみ)
* 法定代理人(親権者、成年後見人等) 戸籍証明等、成年後見登記事項証明書など(写し可)
* 任意代理人 委任状(原本が必要です。見本を参考に、本人が作成してください)
※本人(請求対象者)の配偶者、直系尊属(父母等)、直系卑属(子等)、同じ戸籍の名欄に記載のある方の場合は、委任状の提出は不要です。・請求権限を確認できる書類
- 手数料(定額小為替又は現金書留)
- 1通 300円
* 定額小為替は、お釣りが出ないように、手数料と同額を送付しましょう。
* 定額小為替の有効期間は、発行の日から6か月です。残りの有効期間が一週間程度あるものを送付してください - 返信用封筒(返信先住所(上記「住所が記載された本人確認書類の写し」に記載されている住所)を記入のうえ切手を貼付。
手数料
1通 (原則。自治体によって異なります。)
2-2-3.戸籍謄本の取り方
戸籍謄本とは、その戸籍に入っている全員の事項を写したもののことをいいます。
戸籍に掲載されている内容は以下の通りです。
- 本籍地
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 戸籍に入った年月日
- 父母・養父母の氏名および続柄(例:長男・長女)
- 他の戸籍から入った人は元の戸籍
必要なもの
<窓口で請求する場合>
- 請求書
- 印鑑(認印で可)
(代理人が請求する場合は代理人のもの) - 代理権限を確認できる書類
*法定代理人:戸籍証明等、成年後見登記事項証明書
*任意代理人:委任状
※本人(請求対象者)の配偶者、直系尊属(父母等)、直系卑属(子等)、同じ戸籍の名欄に記載のある方の場合は、委任状の提出は不要です。
<郵送の場合>
- 請求書(市区町村役場のサイトからダウンロード可能です)
- 本人確認書類の写し(代理人が請求する場合は代理人のもの)
- 代理権限が確認できる書類(代理人のみ)
* 法定代理人(親権者、成年後見人等) 戸籍証明等、成年後見登記事項証明書など(写し可)
* 任意代理人 委任状(原本が必要です。見本を参考に、本人が作成してください)
※本人(請求対象者)の配偶者、直系尊属(父母等)、直系卑属(子等)、同じ戸籍の名欄に記載のある方の場合は、委任状の提出は不要です。
- 請求権限を確認できる書類
- 手数料(手数料分の定額小為替を郵便局で用意します)
- 切手を貼った返信用封筒(返信用封筒の宛名に、自分の住所と名前を記載しておきます。)
- 委任状(代理人が請求する場合のみ)
2-2-4.被相続人の死亡記載のある戸籍謄本(除籍謄本)の取り方
被相続人が戸籍から抜けることを除籍といいます。
被相続人が生前に入っていた戸籍に、現在も家族がいるかどうかで「戸籍謄本」となるのか「除籍謄本」となるのかが変わります。
必要なもの
<窓口で請求する場合>
- 請求書
- 印鑑(認印可)
(代理人が請求する場合は代理人のもの) - 代理権限を確認できる書類
*法定代理人:戸籍証明等、成年後見登記事項証明書
*任意代理人:委任状
※本人(請求対象者)の配偶者、直系尊属(父母等)、直系卑属(子等)、同じ戸籍の名欄に記載のある方の場合は、委任状の提出は不要です。
<郵送の場合>
- 請求書(ウェブサイトで用紙をダウンロードできる自治体が多いです。)
- 本人確認および現住所確認書類のコピー
(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード(個人番号カード)、写真付き住民基本台帳カード、身体障害者手帳、在留カード等のうちのいずれか1点。現住所の記載が裏面にある場合は裏面のコピーも必要) - 750円分の定額小為替(1通750円。無記入のもの。郵便局で購入可能)
- 返信用封筒(住所氏名を記入し切手を貼付。住所は請求者の現住所を記載)
2-3.収入印紙は郵便局やコンビニエンスストアで購入することができる
収入印紙は、主に以下で購入することが可能です。
- 郵便局
- コンビニエンスストア
- 法務局
2-3-1.ゆうゆう窓口のある郵便局なら24時間いつでも購入することができる
郵便局では、郵便窓口にて「収入印紙を購入したい」と伝えれば購入することができます。
郵便局の場合は、すべての種類の収入印紙が取り揃えられていますから、相続放棄の手続き時に必要な800円分の収入印紙を購入する場合には、以下の組み合わせで購入すれば良いことになります。
- 400円の収入印紙2枚
- 500円の収入印紙1枚+300円の収入印紙1枚
- 600円の収入印紙1枚+200円の収入印紙1枚
郵便局で購入する場合は、郵便局の営業時間(多くは平日9時~17時)の間しか購入することができません。
ゆうゆう窓口のある店舗の場合は、24時間営業をしているため、いつでも購入することができます。
2-3-2.コンビニエンスストアで購入できるのは200円の収入印紙のみ
コンビニエンスストアで購入する場合、殆どの店舗で取り扱いがあるため、
ただし稀に取り扱っていない店舗もあるので急ぎで購入したいという場合は事前に問い合わせをした方が良いでしょう。
※コンビニエンスストアで購入することのできる収入印紙は200円のみです。
相続放棄の手続き時に必要な800円分の収入印紙を購入する場合には、200円の収入印紙を4枚購入することになります。
2-3-3.法務局ではすべての収入印紙を扱っている
法務局で購入する場合、併設された売店で購入することが可能です。
郵便局同様、すべての種類の収入印紙が取り揃えられています。
営業時間については、事前に法務局に問い合わせてみてください。
2-4.必要となる郵便切手の金額は申述先の裁判所によって異なる
必要となる郵便切手の金額は、申述先の裁判所によって違いますが、数百円程度です。
必要となる金額の確認方法は、以下2つです。
- 各裁判所のサイトで相続放棄について書かれているページで確認する
- 裁判所に電話で問い合わせて確認する
3.まとめ
相続放棄の必要書類についてお伝えしました。
思ったより必要な書類が少ないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
ごく稀に、今回ご紹介した書類以外の書類提出を家庭裁判所から求められることがあるようです。
取得方法が分からない場合には、家庭裁判所へ問い合わせて確認してみることをおすすめします。
また、普段忙しくて戸籍等の書類を取得する時間がないという方や、自分できちんと取得できるか不安であるという方は、司法書士や行政書士等に依頼することを検討してみても良いかもしれません。