準確定申告をするにあたり、「いつまでに申告すればいいの?」「申告期限を過ぎたらどうなるの?」とお考えではありませんか?
準確定申告の期限は「4カ月以内」と定められていますが、焦る必要はありません。
なぜなら、最低限ポイントを押さえて手順通りに進めれば、期限内に申告を完了できるからです。
そうはいっても、「期限は具体的にどうやって計算するの?」といった疑問も湧いてきますよね。
そこでこの記事では、準確定申告の期限や確定申告が必要な期間の数え方を具体例を交えて解説していきます。加えて、期限内に申告を完了させるためのポイントについてもご紹介していきます。
この記事を読むことで、準確定申告の期限を押さえると同時に、期限内に準確定申告を済ませるための行動をとれるようになるでしょう。
「確定申告もしたことない」という方でも理解できるよう、丁寧に解説していきますので焦らず読み進めてください。
1.【具体例つき】準確定申告の期限は4カ月
準確定申告の期限は相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内です。
つまり、被相続人の死亡を知った日の翌日から4カ月以内ということです。
例えば、3月1日に死亡を知った場合、翌日の3月2日から4カ月後の7月1日が申告期限となります。申告期限と納税期限は同じに設定されているため納税期限も7月1日となります。
また、死亡したのが2月1日、それを知ったのが半年後の8月1日の場合など、被相続人が疎遠になっていたりなど、何らかの事情で被相続人の死亡を知るのに時間を要した場合も、あくまでも死亡を知った日から4カ月となります。この場合は8月1日を起算日として、12月1日が準確定申告の期限となります。
また、準確定申告の対象期限も必ず押さえておきたいところです。
確定申告は、1月1日~12月31日までの所得金額に対する税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに申告と納税をする必要があります。
準確定申告の場合、前年分の所得に対する確定申告が完了していれば、準確定申告は相続が開始した年の所得のみが対象となります。
被相続人が前年分の所得も確定申告をせずに死亡した場合、前年分と本年分を合わせて4ヶ月以内に準確定申告する必要があります。
例えば、平成31年1月31日に相続の開始を知り、前年分の確定申告が未完了だった場合、平成30年と平成31年の所得の準確定申告を、平成31年5月31日までに済ませる必要があります。
ここは誤解しやすいポイントですので、しっかり頭に入れておきましょう。
2.申告期限に遅れた場合の加算税とは?
万が一、準確定申告の申告期限に遅れてしまった場合、加算税が追加で徴収される可能性があります。
ここでは2種類の加算税について具体例を交えながら解説していきます。
加算税の存在を理解しておくことで、「加算税を支払わないために期限内に申告しよう」という目的意識を持てます。
また、納める税金の額が大きければ加算税の額も大きくなるため、ここで理解しておきましょう。
2-1.延滞税
準確定申告の期限を過ぎてしまった場合、加算税の1つの「延滞税」が追加で発生します。
延滞税は、納付期限の翌日から実際の納付日までの日数に応じて加算された金額が賦課されます。納付期限の翌日から2カ月までは年7.3%(平成30年1月1日から令和元年12月31日までは年2.6%)、2ヶ月目以降は年14.6%(平成30年1月1日から令和元年12月31日までは年8.9%)が加算されます。
例えば、平成31年4月1日までに50万円の納付が必要な場合に実際の納付が7月1日になったとすれば、以下の延滞税が賦課されます。
- 6月1日まで
50万円×2.6%×61日/365日=2,172円
- 6月2日以降
50万円×8.9%×30日/365日=3,657円
延滞税=2,172円+3,657円→5,800円(100円未満切り捨て)
2-2.無申告加算税
正当な理由がなく申告期限までに申告を行わなかった場合、もう1つの加算税である「無申告加算税」が課されてしまいます。
無申告加算税は、納付額50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額が加算されます。
(ただし平成29年1月1日以後に申告期限が到来するものは、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合になります。)
例)納付額が80万円
- 税務暑の調査で無申告が発覚した場合
50万円×10%=5万円
30万円×15%=4.5万円
無申告加算税=9.5万円
また、税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合、無申告加算税が金額の大小に限らず5%にまで軽減されます。
- 自主的に申告した場合
80万円×5%=4万円
納付額が大きくなるほど、無申告加算税の割合も大きくなっていきます。必ず期限までに申告を済ませるようにしましょう。
3.期限内に申告を済ませるための3つのポイント
ここまで、準確定申告の申告期限と、期限内に申告ができなかった場合の加算税について解説してきました。
本来かからないはずの課税を避けるためにも、必ず期限内に申告を済ませたいものですね。そこでこの章では、期限内に申告を完了させるために覚えておきたいポイントについて解説していきます。
親族が亡くなると葬儀や法要などで忙しくなり、準確定申告は後回しになりがちです。これから準確定申告をする方は必ず目を通してください。
3-1.申告期限を正確に把握する
まずは、いつまでに確定申告を済ませなければいけないのか、期限を正確に理解するところから始めてください。
やらなければいけないと理解していても、締切りが分からなければ行動しようという気が起きにくいですし、遅れてしまえば本来は課税されないはずの税金が発生してしまうからです。
「相続がすでに開始されているが、準確定申告の期限を把握できていない」という場合には、相続が開始されたとみなされる、被相続人の死亡を知った日を特定しましょう。
そして早急に4カ月後の締め切り日を計算してください。
3-2.すべての相続人に準確定申告が必要なことを理解してもらう
相続人が複数いる場合は、準確定申告が必要なことと、その申告期限を理解してもらうべきです。
なぜかというと、確定申告の準備をする際に必要な情報や、書類などを相続人がバラバラに所持している可能性があるからです。
例えば、被相続人の長男が家業を継いでおり、ビジネス関連の領収書は長男が管理しているが、生活を共にする時間は被相続人の長女のほうが長かったため、保険の控除証明書は長女が所持しているというケースも考えられます。
期限内に申告を済ませるためにも、相続人全員で協力して準備を進めるようにしましょう。
3-3.申告に必要な書類を速やかに収集する
準確定申告を済ませるためには、必要書類の準備が大切です。イメージしやすいように、必要書類を以下に挙げておきます。また、入手できる場所もご紹介しておきます。
- 確定申告書(税務署または国税庁のサイトで入手可)
- 被相続人の源泉徴収票(被相続人の勤務先、公的年金の場合は日本年金機構より取得)
- 被相続人の保険の控除証明書(加入先の保険会社より取得)
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告付表(税務署または国税庁のサイトで入手可)
- 被相続人の医療費の領収書
- 委任状(申告書提出先の税務署で入手可)
これらの必要書類がまだ準備できていなかったり、手元にない場合は速やかに準備に取り掛かりましょう。手元に届くまでに少々時間を要する書類もあるからです。
必要書類や書類の書き方についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
4.まとめ
ここまで準確定申告を行う際の期限と、期限内に申告を済ませるためのポイントについて解説してきました。重要なポイントは改めてご紹介しておきます。
- 確定申告の期限は相続が発生した翌日から「4カ月以内」
- 申告が遅れた場合、追加で「延滞税」と「無申告加算税」が課される
・申告期限内に申告を済ませるためには…
- 申告期限を正確に把握すること
- すべての相続人に申告が必要なことを理解してもらうこと
- 申告に必要な書類を速やかに収集すること
親しい人が亡くなり気持ちも落ち着かないなか、申告期限が迫ってくるのは大変なことだと思います。この記事を参考にしていただき、無事に期限内に申告を済ませられることをお祈りしています。