遺産整理とは?相続手続きの流れ、注意点、依頼先の違いまで徹底解説
遺産整理は、相続手続きの中でも特に複雑で手間がかかる作業です。遺言書の確認や財産の調査、名義変更、相続税の申告など、なにから手をつければよいのかわからず、不安を感じる方も多いでしょう。さらに、手続きには期限や法的ルールがあり、ミスが後々のトラブルを招く可能性もあります。
本記事では、遺産整理の具体的な流れをわかりやすく解説し、各手続きの注意点や依頼先の選び方も紹介します。この記事を参考に、 遺産整理をスムーズに進めるための第一歩を踏み出しましょう。
1. 遺産整理は相続手続きの全般を指します
遺産整理は、亡くなった方(被相続人)が遺した財産を調査し、整理したうえで、相続人同士で分配する一連の相続手続きを指します。相続手続きには、遺言書の確認や財産の名義変更、相続税の申告などが含まれます。
相続財産は現金や不動産だけでなく、株式や仮想通貨、知的財産なども対象です。また、借金や未払いの税金といった負債も相続されるため、遺産整理を進める際には慎重な対応が求められます。
2. 遺産整理の手順
遺産整理は、主に以下の6つのステップで進められます。
- 1. 遺言書の有無を確認する
- 2. 相続人を調査する
- 3. 相続財産を調査する
- 4. 遺産分割協議書を作成する
- 5. 名義変更の手続きを行う
- 6. 相続税申告を行う
それぞれの手順について詳しく解説します。
2-1. 遺言書の有無を確認する
遺言書の有無を確認することは、遺産整理を始める最初の重要なステップです。遺言書があれば、その内容に従って遺産を分けなければなりません。
遺言書には、以下の3種類があります。
- 自筆証書遺言書:財産目録以外を自筆で書いた遺言書で、被相続人が保管します。2020年からは、紛失防止のため、法務局での保管も可能です。
- 公正証書遺言書:公証人が作成し、公証役場で保管される遺言書で、全国の公証役場で内容を確認できます。
- 秘密証書遺言書:内容は公証人と証人以外には秘密にされ、被相続人が保管します。作成記録は公証役場に残ります。
遺言書が見つかった場合、開封手続きが必要です。自筆証書遺言書と秘密証書遺言書は、家庭裁判所での手続きが求められます。相続人が勝手に開封すると、5万円以下の過料が課せられることがあるため、注意が必要です。
また、遺言書が見つかる前に遺産分割協議を進めてしまうと、後から遺言書が発見された際に協議をやり直す必要があるため、まずは遺言書の有無を確認することが重要です。
2-2. 相続人を調査する
遺産整理を進めるうえで、相続人を正確に把握することは非常に重要です。相続人が1人でも欠けていると、遺産分割協議が無効になる可能性があります。したがって、まずは相続人を調査し、相続の権利を持つ法定相続人を明確にしなければなりません。
相続人を確認するには、本籍地の役所で被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せます。これにより、被相続人の家族構成を把握し、誰が相続人であるかが明確になります。また、相続人全員の戸籍謄本を合わせて取得することで、相続人が正確に確認できます。
なお、民法により法定相続人には優先順位が定められています。配偶者は常に相続人となり、第1順位が子ども、第2順位は直系尊属(父母または祖父母)、第3順位は兄弟姉妹が該当します。
親族関係について把握しているつもりでも、調査を進めるうちに新たな家族が明らかになることがあります。そのため、漏れなく丁寧に調査を行うことが大切です。
2-3. 相続財産を調査する
故人の遺産になにが含まれているかを把握することは、正確でスムーズな相続手続きを実現するために不可欠です。現金や不動産はもちろん、株式や仮想通貨、著作権などの知的財産権も含まれるため、漏れなく調査する必要があります。
調査の際には、個人が所有していた預金、不動産、貴金属、有価証券、自動車などのプラスの資産に加え、借金や税金などの負債も確認します。負債が多い場合、相続放棄を検討することになりますが、相続放棄は申請期限が3か月以内であるため、迅速な対応が求められます。
また、死亡保険や死亡退職金、祭祀財産に該当する仏像や墓碑、家系図などは相続財産に含まれません。これらは相続対象外であるため、誤って取り扱わないよう注意が必要です。
2-4. 遺産分割協議書を作成する
相続人や相続財産が確定した後、相続人同士でどのように遺産を分け合うかを決めるための話し合いを行います。この話し合いを遺産分割協議と呼び、協議の結果、相続人全員が内容を文書にまとめたものが遺産分割協議書です。遺産分割協議書には、全相続人の署名と押印が必要です。
遺産分割協議書の作成は法律上必須ではありませんが、後々のトラブルを避けるために作成しておくと安心です。協議後に「言った言わない」の問題を防ぎ、合意内容を明確に残しておくことができます。
もし遺産分割協議が成立しなかった場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。遺産分割調停では、調停委員が相続人同士の間に立ち、解決に向けて話し合いを進めます。調停が不成立に終わると、次は遺産分割審判が行われ、裁判所が最終的な結論を下すことになります。
2-5. 名義変更の手続きを行う
不動産や預貯金、会員権、株式などの相続財産について、相続人名義への変更手続きを行います。それぞれの手続き内容を見ていきましょう。
2-5-1 不動産の名義変更をする場合は登記手続きも必要です
相続や遺言により不動産を取得した相続人は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。期限を過ぎると、10万円以下の過料が科されることがありますので、注意が必要です。
相続登記に必要な書類は以下のとおりです。
• 被相続人の出生から死亡までの全戸籍謄本
• 被相続人の住民票除票
• 相続人全員の印鑑証明書
• 相続人全員の住民票
• 不動産の固定資産評価証明書
• 不動産の全部事項証明書
• 遺産分割協議書(または遺言書)
これらの書類を準備して、法務局で手続きを行い、名義変更を完了させましょう。
2-5-2 銀行口座の名義変更
銀行口座の名義変更を行うことで、相続人は預金の管理や引き出しが可能になります。手続きには、遺産分割協議書や戸籍謄本など、相続人であることを証明する書類が必要です。金融機関によっては、独自の申請書類や相続人全員の署名・押印が求められる場合もあるため、事前の確認が重要です。
遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が手続きを進めます。また、委任状を用意することで、相続人以外の代理人に代行を依頼することも可能です。
2-5-3 ゴルフ会員権や未上場株も忘れずに行いましょう
ゴルフ会員権や未上場株式も相続財産に含まれる場合があり、それぞれ適切な名義変更を行う必要があります。
ゴルフ会員権は、対象のゴルフクラブの規約に従い手続きを進めます。一部のクラブでは理事会の承認や他の会員の同意が必要な場合があるほか、名義変更料が発生することもあります。事前に規約を確認し、手続きに必要な書類や費用を把握しておきましょう。
未上場株式は、株主名簿の変更や相続税評価が必要で、手続きが複雑になることがあります。故人が会社の役員だった場合は、役員退任にともなう変更登記が必要です。これらの手続きは、会社や税理士などの専門家と相談して進めると安心です。
2-6. 相続税申告を行う
相続税の申告は、相続財産の合計が基礎控除額を超える場合に必要です。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 x 法定相続人の数」で計算され、この金額を超えた場合には、相続税の申告と納付が求められます。
相続税申告を進める前に、相続人がどのように相続を承認するか、または放棄するかを決定する必要があります。相続方法によっては、申告内容に影響が出ることもあるため、しっかりと確認しましょう。
相続には、単純承認、限定承認、相続放棄という3つの方法があり、それぞれの詳細については以下で解説します。
2-6-1 単純承認
単純承認は、相続人が被相続人の相続財産をすべて受け入れる方法です。単純承認を選ぶと、相続人はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐことになります。そのため、負債が財産を上回る場合、借金を背負うことになり、自身の資産で返済しなければならない可能性があるため慎重な判断が求められます。
単純承認には特別な手続きは不要で、相続人がほかの相続方法を選ばず、相続財産を処分した場合などには、自然に選択されたものとみなされます。ただし、相続放棄や限定承認を希望する場合は、家庭裁判所への申立てが必要です。
2-6-2 限定承認
限定承認は、相続人が相続財産の範囲内で負債を引き受けることを条件に、相続を受け入れる方法です。限定承認を選ぶことで、相続人は相続財産を使って負債を精算し、財産を超える負債を引き継ぐことはありません。
例えば、相続財産が300万円の車で、負債が1,000万円の場合、限定承認を選択すれば車の300万円を受け継ぎ、負債も300万円だけ引き受けることになります。
限定承認を行うには家庭裁判所への手続きが必要で、相続開始から3か月以内に申し出る必要があります。さらに、相続人全員の同意を得ることが必須であり、1人でも同意しなければ限定承認は行えません。
限定承認は、被相続人の資産状況が不明な場合や、どうしても引き継ぎたい財産がある場合に有効な手段です。ただし、手続きに時間と労力がかかるため、慎重に判断する必要があります。
2-6-3 相続放棄
相続放棄は、相続人が被相続人の財産や負債を一切引き継がない手続きです。相続放棄を行うことで、相続人はプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産についても責任を負うことがなくなります。
例えば、被相続人が多額の借金を抱えている場合や、相続トラブルを回避したい場合に有効です。特に、負債が財産を大きく上回る場合によく選ばれる方法です。
相続放棄を行うには、家庭裁判所に申立てをし、相続が発生したことを知った日から3か月以内に手続きを完了させる必要があります。相続放棄の手続きは、相続人ごとに個別に行うことが可能で、ほかの相続人の同意を得る必要はありません。
3. それぞれの手続きには期限があります
相続手続きでは法律で定められた期限があり、期限を守らない場合にはペナルティを受けたり、権利を失ったりする可能性があります。そのため、計画的に手続きを進めることが大切です。以下は主な手続きとその期限です。
- 相続開始から1週間以内
最初に行うべきは「死亡届」の提出です。死亡診断書を添えて、市区町村役場に届け出ます。この手続きが完了しないと、相続の全体スケジュールが進められません。 - 相続開始から3か月以内
相続放棄や限定承認を選択する場合は、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。期限内に手続きを行わない場合、相続を承認したものとみなされます。また、特別な事情がある場合には、家庭裁判所への申請により期限の延長が可能です。 - 相続開始から4か月以内
被相続人が確定申告を必要としていた場合、代わりに相続人が「準確定申告」を行わなければなりません。準確定申告を怠ると、加算税や延滞税が課される可能性があるため、注意が必要です。 - 相続開始から10か月以内
相続税が発生する場合、相続開始から10か月以内に申告と納付を完了する必要があります。もし遺産分割がまだ完了していない場合でも、申告期限を守るためには未分割のままで申告しなければなりません。その際、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、後から分割内容に基づいた特例を適用することができます。
これらの期限を守るためには、早めに手続きを開始し、必要な書類を揃えることが重要です。スケジュール管理を徹底し、場合によっては専門家に相談することで、効率的かつ正確に進められます。
4. それぞれの業務の依頼先を確認しましょう
遺産整理の手続きは内容によって、依頼すべき専門家が異なります。主な依頼先として、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、信託銀行の5つがあり、それぞれの専門家が適しているケースについては以下のとおりです。
- 弁護士
弁護士は相続トラブルの解決に適しており、遺産分割協議や調停に唯一対応できる専門家です。例えば、親族間で財産分割の意見が対立している場合や、裁判に発展する可能性がある場合に頼りになります。また、相続手続きに不安がある方も、弁護士に手続きを一括して任せることで、安心して進められます。 - 司法書士
司法書士は、不動産の名義変更や相続登記の専門家です。例えば、実家を兄弟のうち1人が相続する場合、名義変更の手続きを司法書士に依頼することが一般的です。弁護士ほど対応できる範囲は広くありませんが、相続税が発生しない場合や特に争いがないケースでは、コストを抑えつつ多くの手続きを任せられます。不動産が複数ある場合や、登記手続きで確実な対応が求められる場面では、司法書士が適した選択肢となります。 - 行政書士
行政書士は、遺産分割協議書の作成や相続人の調査など、書類作成を中心にサポートする専門家です。例えば、必要書類の準備をスムーズに進めたい場合や、自分で手続きを進めつつ部分的に専門家の助けを借りたい場合に役立ちます。法的なトラブルがないケースで、手続きを効率的に進めたい場合に適しています。 - 税理士
税理士は、相続税に関する手続きや相談に特化しています。相続財産の評価や申告が必要な場合、または相続税が発生する可能性があるケースでは、税理士に依頼することで正確かつスムーズに手続きを進められます。 - 信託銀行
信託銀行は、相続手続きの窓口として、各士業への取り次ぎや財産の活用方法についてのアドバイスを提供します。例えば、手続き全般を代行してほしい場合や、不動産や預貯金を効率的に活用したい場合に役立ちます。信託銀行は、一貫したサポートを提供するため、こうしたケースに便利な選択肢です。
これらの専門家を上手に使い分けることで、遺産整理をスムーズに進められます。それぞれの特徴を理解し、必要に応じて複数の専門家に相談することも検討してみましょう。
5. まとめ
遺産整理は、相続人や財産の確認から始まり、遺産分割協議、名義変更、相続税申告など、さまざまな手続きを含みます。これらの手続きには期限があり、正確かつ迅速に進めるためには、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することが効果的です。弊社では弁護士や司法書士のご紹介が出来ますので、ご不明な点等ございましたら、ランドマーク税理士法人にご相談ください。
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