JA共済Hot Infomation

2012.12月号

【 2012.12月号 】

経費の二重計上にご注意を!建物更生共済の税務上の取扱い

私は個人でアパート、駐車場などを所有しており、不動産賃貸業を営んでいます。賃貸しているアパートの修繕等に備えて建物更生共済に入っていましたが、この度、その建更が満期になりました。この税務上の取り扱いを教えて下さい。

個人事業者の方が個人事業者契約の満期共済金を受け取った場合、その収入は満期支払日(満期日の翌日)の属する年の一時所得として扱われます。

<解説>

 建更共済等に加入して満期を迎えると満期共済金がもらえます。個人事業者の方が個人事業者契約の満期共済金を受け取った場合、その収入は満期支払日(満期日の翌日)の属する年の「一時所得」となります。(「不動産所得」や「事業所得」の収入金額とはなりません。) 建物更生共済の掛金は、「必要経費」への算入が認められている部分と「積立掛金」部分とに分かれており、事業用の建物更生共済が満期を迎えた場合には、満期共済金相当額から「積立掛金」を控除した金額がその事業年度の所得または損失になります。

 
(1)一時所得の計算の仕方

一時所得とは、一時金として受ける収入のうち、営利目的の継続的行為から生じたものや労務や役務の対価、資産の譲渡等による対価として受け取ったものではない、臨時・偶発的な性質の所得をいいます。
一時所得の計算方法を算式で表すと下記のようになります。

収入金額 - 収入を得るために支出した費用 - 特別控除(最高50万円) = 一時所得の金額

 

こうして求めた一時所得の1/2に相当する金額を他の所得と合算して総所得を求め、確定申告時に納める税金を計算します。(ただし、源泉分離課税されるものを除きます。)また、一時所得の計算上生じた損失は他の所得と損益通算して相殺することができません

 
(2)共済掛金の取り扱い

事業用建更の掛金については、火災や自然災害等が生じた場合の損害補償に充てられる掛け捨て部分(必要経費として毎年の事業所得・不動産所得の経費となる部分)と建物の更新等に充てるための積立として満期共済金の支払いに充てられる部分(積立掛金部分として満期・解約の時点で一時所得の経費となる部分)とに分かれます。

建更の掛金

 

一時所得の計算の際には、満期共済金相当額から「今までに支払った掛け金の全て」を控除してはいけません。不動産所得で必要経費として算入していた部分を二重に計上することになってしまいますので、そのようなことがないようにご注意下さい。
今回のご質問の場合には、受け取った満期共済金から既に払い込んだ掛け金のうち、積立掛金部分を差し引き、さらに一時所得の特別控除50万円を差し引いた金額が、一時所得の金額となります。

 
【設例】

満期共済金2,800,000円の支払いを受け、積立掛金に相当する部分の累計額が2,270,000円である場合(割戻金は掛金と相殺)
2,800,000円 - 2,270,000円 - 500,000円(特別控除)= 30,000円(一時所得)
一時所得は所得金額を1/2にし、他の所得金額と合算して税額を計算します。そのため、この設例の場合には30,000円×1/2=15,000円が課税の対象となり、確定申告の際にはこの15,000円に他の所得を合算して税金を求めます。

(3)特殊なケース
[1]1つの建物を、事業用部分と居住用部分とで兼用している場合

各用途の専用割合に応じて按分計算します。事業用部分にあたるものに関しては、上で述べたとおり処理します。また、居住用部分の満期共済金についても一時所得として取り扱いますが、居住用部分に対応する共済掛金に関しては、旧長期損害保険料控除または地震保険料控除にあてはまる場合は、所得税については最高50,000円住民税については最高25,000円が所得から控除されます。

[2]事業用建更を解約した場合

満期共済金を受け取った場合と同じ考え方で処理します。具体的には、その建更の解約返戻金相当額から資産計上している共済掛金積立相当額を控除した金額がその年の所得(損失)として取り扱われます。

 

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