「婿養子には実親の相続権がある!?、じゃあ養親の相続権はどうなの?」このような質問をされたとき、あなたは答えることができますか?
婿養子の相続権について、ご自身が婿養子だという方や兄弟に婿養子がいる方は特に気になることだと思います。ここでは、婿養子の相続権について解説していきます。
また婿養子と聞いて、国民的アニメの登場人物を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、あの登場人物は婿養子ではありません。" 婿 "です。
意外にも、婿養子は婿と混同して認識されていることが多いのが現状です。婿養子と婿の違いについても本記事で触れていきます。
それでは、さっそく確認していきましょう。
1.婿養子は、実親・養親の両方の相続権がある
婿養子は、実親と養親(妻側の親)の両方の相続権があります。
「妻側の親と養子縁組をすると、実親の相続権が無くなってしまう」と勘違いしてしまいがちですが、実際はそうではありません。
妻側の親と養子縁組をすることによって、相続権が増えるとイメージすれば、分かりやすいですね。
1-1.婿養子と実子の相続分に違いはない
意外だと思われるかもしれませんが、婿養子と実子は同じ身分として扱われます。
そのため「養子だから相続分が少なくなる・・・」ということはなく、婿養子も実子も相続分に違いはありません。
たとえば、「長男」が「妻」と結婚し、婿養子になった場合、相続分はどのようになるのか確認してみましょう。
【実親である父が亡くなった場合】
実父が亡くなったとき、法定相続人になれるのは実母、長女、長男です。
配偶者は1/2、長女と長男の法定相続分は変わらないので1/4ずつとなります。
【養親である父が亡くなった場合】
養父が亡くなったとき、法定相続人になれるのは養母、妻、妻の弟、妻の妹、そして婿養子である長男です。
配偶者は1/2、妻、妻の弟、妻の妹、婿養子である長男の法定相続分は変わらないので1/8ずつとなります。
2.婿養子とは
冒頭で、婿養子と婿が混同して認識されていることが多いとお話ししました。
本章では、婿養子と婿の違いについてお伝えしておきます。
婿養子と婿では相続権に違いが出てきますから、両者の違いをしっかりおさえておきましょう。
2-1.婿養子と婿の違いは、妻の両親と養子縁組をしているかどうか
"婿養子"と"婿"の違いは、妻の親と養子縁組をしているかどうかです。
妻の親と養子縁組をしている人が"婿養子"で、養子縁組をしていない人が"婿"です。
婿養子と聞くと、「妻の苗字を名乗っている人」や「妻の実家に住んでいる人」が思い浮かぶ方もいるかもしれません。
しかし、どちらも絶対に養子縁組をしているとは判断できませんので必ず養子縁組をしているかどうか確認しましょう。
妻の親と養子縁組をしていて法律上の親子になっている。
2-2.婿養子は養親の相続権があるが、婿には相続権がない
2-1.では、婿養子と婿の違いがわかりましたね。
では、相続における婿養子と婿ではどのような違いがあるのでしょうか?
それは養親の相続権があるかどうかです。
婿養子には(実親と)養親の相続権がありますが、婿には養親の相続権はありません。
3.まとめ
婿養子の相続権について、婿と比較しながら解説してきました。
『婿養子の相続権のまえに、婿養子の認識自体が間違っていた!』という方もいるかもしれません。
婿養子は、実親と養親の両方の相続権があります。
ご自身が婿養子で、実親や養親がご健在の場合は相続対策、実親や養親の相続が発生している方は、相続手続きが必要となります。
相続対策をする際は、様々な特例の活用やコストを含めた試算があったり、相続手続きは期限が決まっているものがあったりと複雑ですので、不安のある方は専門家に相談してみましょう。