非居住者が相続する場合の小規模宅地の特例
子が海外赴任や、結婚などの理由で海外生活をしている非居住者である場合、被相続人の国内の自宅や事業・貸付用の土地について、小規模宅地の特例を受けることができるのでしょうか?
まず、相続税の納税義務がある人は下記のように定義されています(相続税法1条の3)。
(1)居住無制限納税義務者
「居住無制限納税義務者」とは、相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において日本国内に住所を有する人をいいます。
(2)非居住無制限納税義務者
「非居住無制限納税義務者」とは、相続又は遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人で、その財産を取得した時において日本国内に住所を有しない人(ただし被相続人または相続人のどちらかが相続開始前10年以内に日本国内に住所を有したことがある場合に限る)をいいます。
(3)制限納税義務者
「制限納税義務者」とは、相続又は遺贈により日本国内にある財産を取得した個人でその財産を取得した時において日本国内に住所を有しない人(ただし「非居住無制限納税義務者」に該当する人を除く)をいいます。
被相続人と相続人のいずれかが相続開始時に日本に住所がある場合、国籍や日本・海外の居住期間は関係なく、相続人が取得した全世界の財産について課税の対象となります。
そして、「小規模宅地等の特例」は、親族が相続などによって亡くなった方(被相続人)の自宅や賃貸不動産などを取得した場合、相続税の申告期限までに同じ目的で使用し、かつ、保有しているときは、原則として、その不動産の相続税評価額を減額することを認めるものです。
同居していない親族が相続する際は非常に要件が複雑ではありますが、非居住者であっても、被相続人に配偶者も同居親族もいなければ、本特例が受けられる場合があります。
まず、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと。
相続時に海外赴任などで非居住者であっても、日本で自宅を所有しており、相続開始前3年以内にそこで居住していた場合は特例の適用外となってしまいます。
次に、相続した宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
申告期限までに売却してしまうと本特例を受けられなくなってしまいますので、注意が必要です。
もうひとつは、相続開始の時に日本国内に住所を有している、或いは日本国籍を有していること。
しかしながら、「小規模宅地の特例」が、様々なケースに応じて異なる要件を有しているため、様々な角度から最大限に本特例を活用できる方法を個々のケースに応じて確認していくことが重要です。
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