2012.11月号
善意に税金はかけられません!寄附をしたときの所得控除と税額控除
認定NPO法人への寄附を考えているのですが、今年の確定申告の際に控除対象とすることはできるのでしょうか。
要件を満たした「特定寄附金」であれば「所得控除」の対象となりますし、認定NPO法人に対するものであれば、「税額控除」を利用することもできます。
<解説>
納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、「所得控除」を受けることができます(「寄附金控除」)。また、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金の内、一定のものについては、所得控除に代えて「税額控除」を選択することができます(「寄附金特別控除」)。
(1)寄附金控除(所得控除)
寄附金控除の対象となる「特定寄附金」とは、次のようなものをいいます。
- 国、地方公共団体に対する寄附金
- 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、一定の要件を満たすと認められたものとして、財務大臣が指定したもの
- 政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの
- 認定NPO法人に対する寄附金のうち、一定のもの など
学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるもの、政治資金規正法に違反するものなどは、特定寄附金に該当しません。
控除額の計算方法は以下のようになります。
次のいずれか低い金額-2,000円=寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額
(2)寄附金特別控除(税額控除)
平成23年以後に個人が認定NPO法人に対してその認定NPO法人が行う一定の事業に関連する寄附金を支出した場合には、支払った年分の寄附金控除(前述)の適用を受けるか、又は次の算式で計算した金額について税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することが出来ます。なお、税額控除の限度額はその年分の所得税額の25%となります。
(※)その年分の総所得金額等の40%相当額が限度
<有利判定の例>
Ⅰ 各種控除後の所得金額1,500万円(寄付金控除前)
認定NPO法人へ300万円の寄附をした場合
○所得控除を利用した税額
3,000,000-2,000=2,998,000
(15,000,000-2,998,000)×33%-1,536,000=2,424,660 → 2,424,600円
×税額控除を利用した税額
(3,000,000-2,000)×40%=1,199,200
15,000,000×33%-1,536,000=3,414,000
3,414,000×25%=853,500<1,199,200 → 853,500
3,414,000-853,500= 2,560,500円
Ⅱ 各種控除後の所得金額 2,000万円(寄付金控除前)
認定NPO法人へ300万円の寄附をした場合
×所得控除を利用した税額
3,000,000-2,000=2,998,000
(20,000,000-2,998,000)×33%-1,536,000=4,074,660 → 4,074,600円
○税額控除を利用した税額
(3,000,000-2,000)×40%=1,199,200
20,000,000×40%-2,796,000=5,204,000
5,204,000×25%=1,301,000>1,199,200 →1,199,200
5,204,000-1,199,200= 4,004,800円
どちらの控除を使えば有利となるのか、については試算してみる必要があります。
まずは専門家にお尋ねください。
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