土地評価における間口と相続税

路線価の付されている土地評価においては、「間口」の長さを測らなければなりません。
間口とは、その土地の道路に接する部分のことを言い、間口が狭いとその土地は利用しづらく価値が低くなります。


 
同じ面積でも【土地A】の方が利用しやすいことがわかります。よって、【土地B】のように間口は狭い土地については、路線価に「間口狭小補正率」をかけて評価額を下げることが認められます。
補正率を適用できる間口距離は下記の通りです。

地区区分
間口距離
(メートル)
ビル街地区 高度商業地区 繁華街地区 普通商業・
併用住宅地区
 4未満 - 0.85 0.90 0.90
 4以上6未満  - 0.94 1.00 0.97
 6 〃  8 〃 - 0.97 1.00
 8 〃  10 〃 0.95 1.00
 10 〃  16 〃 0.97
 16 〃  22 〃 0.98
 22 〃  28 〃 0.99
 28 〃 1.00
地区区分
間口距離
(メートル)
普通住宅
地区
中小工場地区 大工場地区
 4未満 0.90 0.80 0.80
 4以上6未満  0.94 0.85 0.85
 6 〃  8 〃 0.97 0.90 0.90
 8 〃  10 〃 1.00 0.95 0.95
 10 〃  16 〃 1.00 0.97
 16 〃  22 〃 0.98
 22 〃  28 〃 0.99
 28 〃 1.00

 
※「奥行価格補正率」や奥行が長大な宅地については、「奥行長大補正率」を乗じ更に評価額を下げることができます。

間口の求め方(見出し)

道路に接する部分が間口になるといっても、土地の形状は様々であり間口の取り方にも特殊なケースがあります。

① 角切(すみきり)がある場合
                       
角切とは、建築基準に基づき通行者の安全上設けられたものです。
【土地Ⅰ】の場合、角切部分を含めた B が間口になります。
【土地Ⅱ】の場合、角切部分で広がった部分は含めず、B が間口になります。

② 凹凸の土地の場合

 
           
凹凸の土地については、原則通り道路に接する部分が間口となります。
【凹】の場合、A+B が間口になります。
【凸】の場合、 A が間口になります。

③ 屈折部の場合
屈折している不整形地の場合は、その不整形地の想定整形地による間口と実際の間口を比較して短い間口を適用します。
    
     
どちらの土地も、A+B もしくは Cのいずれか短いほうが適用されます。
想定整形地は、
1・・Aの接する路線に平行な長方形からなる想定整形
2・・Bの接する路線に平行な長方形からなる想定整形
3・・路線に接する両端を直線で結んだ長方形からなる想定整形

上記3つのうち、最も面積が小さいものを採用します。


④ 斜め方向に通路がある場合


 

実際に道路に接しているAで評価してもよいですし、通路の幅であるBを間口としても問題ありません。

まとめ

路線価の付されている土地の評価においては間口距離によって評価額を下げることができます。ただし、間口の取り方には注意が必要です。

原則は実際に出入りしている部分ではなく図面上の道路に接している部分が間口となりますので、例え段差がある土地でも塀があっても間口としなければなりません。過去に納税者と税務署との見解の相違で間口の取り方を否認された裁決事例もありましたので、複雑な土地に関しては土地評価の専門家に相談することを検討しましょう。

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